いま住んでいる家にも、かつて居た。

これは、視得たわけではないので、なんとも言えない。

ただ、 それは、 そこに居た。としか言えない。

居たんだ。

うんで、そいつは、私を たびたび金縛りかけて 上に乗っかって苦しめてきた。

だけど・・・

その度に、私が 私ではなくなり?

「喰われてぇか?」と、何も見えないはずの天井を、睨みつける 私がいるのだ。

一度睨むと、そいつは、離れる。

どこから来るのか?それは、わかる。

勝手口からだ。

私は、常に、勝手口を睨んでいた。

「来るならこい。喰ってやるから。きな」

なぜ?私は、勝手口に、そんなことばかり言ってきたのか?

わからない。

ただ、勝手口を視るたび、獲物がこちらにやってくるのを

待ってる自分がいるのだ。

そのときの自分が、一番怖いな。

喰いたくて、喰いたくて、喰い尽くしたくて・・餓えを抑えきれないのだ。

目の前で、まな板の上に載せた 鳥の胸肉をぶつ切りにしていても

私の獲物は、勝手口にいるからだ。

あいつらを喰わないと、あいつらのほうが美味い。

私のえさだ。と

なんで?そんな感情がこみ上げていたんだろう?

今は、今現在は、違う。

なぜか?勝手口から、あいつらの気配はない。

えさらしいえさは、覗いてこない。

何かあったのだろうか?