巳影が出会った男 罪に気付いた男の話

どうしても、頭から離れないことは、書くことにする。

私がまだ、二十代の頃に会社で知り合った男性だった。

巳影は、終始、彼のことを、兄貴と思ってた。

好きになってはいけない男は、巳影は、最初から「心に鍵をかける」

兄貴とすることにしている。それで、万が一のことがあっても、自分をセーブできるから。

兄貴は、会社で、「女子社員にすぐ手を付ける男」で、有名だった。

なんで?兄貴が、私に近付いてきたかというと、

私が働いている会社の親会社の社員だった彼は、「なんでもしゃべってくれそうな女」として、私をターゲットにしたみたいだ。

巳影は、根掘り葉掘り、痛くもない腹を探られてきた。

「うざ。。このおっさん。面倒くせぇな」と思ってた。

巳影は、自宅や携帯の番号は教えてなかった。

兄貴は、突然、私が親と住む自宅に電話してきた。

「今から会いたい。出て来いよ。」かかってきた時刻 午後12時

このおっさんは、何を考えとるんじゃ@@;と思い、まず問いただした。

「誰から聞いたの?うちの電話番号を」

「会社の社員名簿みればすぐわかるでしょ^^いいから、出てこいよ。」

「二度と家に電話してこないで。」

「なんで?会いたくないの?俺に」なんで、こう挑戦的な男にばかり出会うんだろうーー;

「困ります^^」ガチャン。。。

その後、会社に 兄貴がきた。何事もなかったようにして、笑顔で、ボディタッチしてくる。

兄貴は、にこにこ笑顔で社員と会話してる。私は、無視。

うちに帰ってから、電話かかってくる。また、兄貴からだ。

このパターンが、10回ぐらい続いた。

母が、見逃すはずはなく、「おまえ、あの電話の男と寝たのか?」と、私に問いただしてくる。

「バカか。うちの親は」と巳影は思った。

当時、私には、片思いの男性がいた。兄貴の同僚の人で、独身。イケメンではなかったけど、巳影の好みだから。

兄貴も、「自分に会って無視してくる女よりも、自分以外の男に視線を走らせる女の様子は、すぐ嗅ぎ取ってきた」

それで、ある時、毎回のパターンで電話をかけてきた兄貴からの内容が、唐突にこうでてくる。

「おまえ、あいつのこと好きだろ?」

動揺を隠せない巳影。若かったから。しかたない。

「俺が、うまくいかせてやろうか?あいつとデートしたいだろ?」

はぁ?この男は、何を考えてるんだ?と思いつつ、どこかで、期待してるんだ。このとき、巳影は

「断ります^^」でも、それを口実にして、また「出て濃いよ。」といわれたので、ガチャンと電話を切った。

兄貴は、忘れてなかった。私が片思いしてる男性のことを、調べてきた。

あの電話の後、また会社にきた兄貴から、「あいつはやめとけ。女いるぞ。」って、仕事の最中に耳元で囁かれる。。

かなりのショックだったな。

なぜか?兄貴は、それを言い終えた後で、同じ会社の同僚で、ちょっとぴょろっとした男性を、私に紹介してくる。

なんだろ?この人と思いつつ、兄貴は、いつもの笑顔で、「また電話するよ」と勝手に言って、先に会社を立つ。あの片思いの人とともに・・

巳影は、ずっとショックだった。

そこに、兄貴から紹介された男性が、今度は、「お昼いっしょにどうですか?」と声をかけてきた。

なんか、なれなれしいな・・・と思いつつ、その男性とお昼した。

自己紹介しあって、年が近かったせいか、高校のころの思い出話とかしあって、楽しく過ごした。

そして、この男性も兄貴と同じことを言ってくる。

「また来るよ^^またお昼しようね。」

巳影は、「はぁ・・・−−;」と、訳がわからず、始めて出会った男性とお昼の約束をする。

夜、先輩から電話が来る。

「今から、出てこない?」午後12時。。この人は、この時間帯にわたし呼び出して、どうしようってんだ?

一度、ちゃんと びしっと言ってやろうと思い、母に「ちょっと、急所突いてくる」と言って、兄貴を近くまで呼び出し、合う。

兄貴は、「乗れよ。こっちこいって。」って車に乗ったまんま、窓から顔を出して、巳影に、車に乗るよう言ってくる。

「のらなーい^^兄貴は、なんの用があるの?毎回毎回、電話してきてさ。困るんだけど」と、切り出す巳影。

巳影が、案外ショックが軽そうなので、残念?

「おまえも強情だな。」とか返してくる兄貴。

巳影は、諦める女じゃないから、まだ結婚してない限り、片思いの男性を諦めようとは思ってなかった。兄貴から言われたぐらいではね。

そこに、とどめを刺してくるんだ。この人は

「あいつさ。結婚するよ。もう日取りも決まってんの。それよりさ。今日紹介したやつとは、どうだった?なんか話しただろ?」

と、さらっと言ってきて、さらっと話をすりかえる。

当時の私は、若かったから、この兄貴がやってることが、わかんなかったけど、「私を、廻してるんだ。こいつら」ってことが、後になってわかった。

自分になかなかなびかない女。同僚の男と、女の話は絶えない。

「お前のこと好きだってよ。どうする?おまえ、女いるだろ?」

「あ。俺、あの子気になるんで、先輩、紹介してもらえませんか?」

このパターンが予想される。

巳影は、怖い母に育てられてよかったと思った。

「いいか、男はいくらでも感情なく女を抱ける生き物だ。それと、一人で落せないときは、同類で徒党を組んで廻すんだよ。」

まさしく、母の言った通りの状況になった。

このときは、巳影は、本当に「バカでよかった」と思った。

なんでも、母から疑うように育てられてきたので、彼らの魂胆が裏で動いていても、乗らなかった。

巳影は、昔から、熱しやすく冷めやすい。恋愛もそうだ。

20代の頃、画家志望で 男の師匠について学んでいたとき、師匠から迫られ・・・奥さんから睨まれ・・・痛い思いをしてきてる。

免疫がついていくと、「諦めてなかった片思いの男も、突然、冷める」

兄貴が絡んできた時点で、諦めないと思いつつも、だんだん冷めてきたんだ。

それで、兄貴も、片思いネタでは落せないや 他に紹介した男がらみで落せないやで、だんだん、元気をなくしていった。

そして、ある日電話でこう返してきた。

「お前みたいな女始めてだ。」そっから、兄貴は、無理やり私を呼び出すのではなく、今度は、愚痴こぼしの電話に切り替えてきた。

巳影は、毎日のように、兄貴から家庭不和の電話を聞かされる。

「できちゃったんで結婚した相手。今の奥さんと冷めた関係。子供いるから、子供かわいいんで別れにくい。いや、俺は、別れたいのか?わかんない。」とか、悩んでた。

なんか、かわいそうになって、巳影がアドバイスしたのは、

「家族でできる何かのイベントに参加したら?そういうのを考えたことないでしょ?兄貴は、他の女落すことばっか考えてるから、身近にいる かみさんと「共同で出来るイベント」に頭まわんないでしょ?女落すだけの知恵絞れるのに、かみさん落すイベントぐらい知恵まわせよ。」

とか言った記憶ある。巳影の母からの受け売り。

兄貴は、その後、また電話かけてきた。

「植樹いってみた。意外と楽しかった^^おまえのいう通りにしてよかったよ。俺、なんか反省したんだ。ありがとう」

と言って、兄貴は、本当に嬉しそうな声で電話を切った。

その後も、兄貴からは電話かかってきたけど、ほとんどが、かみさんの愚痴。

だけど、だんだん電話の回数が減ってきて、巳影は、その後、会社を辞めたんで、兄貴とはそれっきりになった。

巳影は、なんだかよくわからない経験ばかりする。

いつのまにか、相談役になってたりして・・・

まあ、今日も、昔経験した話です。