いままで書いてないこと 手首の陥没痕
田中実さんという俳優さんの突然の訃報のニュースが流れてから、
たまたま視た「写真」に、ゾッとした。
ずっと前に撮られた写真なのだろう。まさかな・・・と思っても、やっぱり、怖い。
「目」が、尋常じゃなかった。私が、受けた念。叫び 思い出したくない
死に往く様は、私は、何度も経験してる。
飼い猫たちの死。目の前で死に往く様・・全部覚えてる。絶対消えない。一生、消えない。
父の死の時は、壮絶だった。父の死に往く様は視てはいない。
死んでからあとの「身内」の豹変振りが、すごかった。
父は、叔父夫婦にお金を貸していた。借用書無しで、何度も。
何かにつけて、父の懐を狙ってきていた。だから、父も、母を警戒していたってわけ。
母方の伯父・叔父夫婦・一番下の叔父は、父と母に、常に、「お金貸してくれ」といってきていた。
母は、出せないので、父にお願いする。
「またか?!いいかげんにしろ」が、給料日前に始まる、喧嘩の前に発せられる。
何度か、「貸した金返せよ。いいかげんにしろよ」と、母が責められる。
叔父夫婦の要求を断れない理由が、母にはあった。
母は、祖父の二号さんの子供。御妾さんの子だと、母から聞かされてる。
赤ちゃんのとき、妾さんから引き離して、祖母が母を育てた。
毎日、叩く。毎日、他の兄弟たちとは差別する。食事も、兄弟たちとは別に。
母は、気に入られたかった。祖母に愛されたかった。と言ってた。
だから、何かしてあげたい。そうしないと、嫌われるから。想像できない。いつものあなたからはね。そんなこと考えてるなんてな。
母は、祖母から、「これだけ子供がいれば、気に入らない子もいるんだよ」と、毎日叩かれていたそうだ。
祖父が、勝手に、妾さんから引き離して、祖母に育てさせたらしい。
父は、事情を知って、母を助けるつもりで、いっしょになったそうだけど、
たとえ、妾の子とは言え、赤ちゃんのときから育ててきた祖母が、母にしたのは、「うちも、家計が大変なんだ。うちらのために、おまえは、おまえの身を売って、うちに金を入れろ。」という仕打ち。
父と結婚しても、祖母の、兄弟の、母への要求は、ずっと続いた。
父は、縁を切れ。と言ったけど、切れなかった。
こういうところは、父を、かなり買ってる。男らしい。
母のまわりは、金銭トラブルが絶えない。
母が、ホステス時代、父とも友人関係だった「裏の人(ヤクザ)」がいた。
この人も、よく金を借りにきた。やばいことに手を出しては、うちにきて、逃げる金をせびる。
警察が、事情聴取に来る。
後日、父と母が話してるのを聞いて、ゾッとした。
「あいつ、セメントで固められたんじゃねぇか?連絡きたか?」
「ない。もう、沈められてんじゃない?」
家は、あまり、普通の家庭ではないな。とは、感じてたけど・・・
切れない「金の亡者」たち。「金」で命を取られる。
「必要以上の金」は、人を変える。自分自身も、まわりもね。
あれば、来る。なければ、搾り取る。金の欲求は、底がない。
その「亡者たち」は、父が死んだとき、特に、叔父夫婦は、父の遺体をわざと、落とす。母に罵声を浴びる。
「さっさと焼け!いつまでも泣いてんじゃねぇ!」と、火葬場で、母に罵声を放つ。
父が、そんなに憎いか?くそじじい 金借りてきて、そんな言い草かよ。
どいつもこいつも、大なり小なり、亡者ばかり。
父が死ぬ少し前、私は、自分の手首の肉をこじ開けた。
最初は、突くだけだった。痛みを感じないので、どんどんこじ開けていくと、穴が開いた。
私には、リストカットの気持ちはわかんない。同情はしない。
だけど、手首の肉をこじ開けたくなる気持ちはわかる。
血が流れなかったんだよ。突いただけでは。それで、死んでるのかな?って確かめたくなる。
だから、ほじくるんだよね。
長袖で、包帯で隠してたけど、母にばれて、叩かれる。
付き添いは無し。皮膚科にいって、その場で、手術になった。
一日で、膿んでた。膿みを出すときは、痛かった。穴を縫合した。
「痕が残るよ。」といわれた。
5年かけて、まわりの皮膚組織が、柔らかくなった。それまでは、肉のシコリみたいな状態。それがなくなった頃、穴があった箇所が、陥没し始めた。
ここまで書くと、こんなに覚えているもんなんだな。と思う。
もう父が死んで10年たつけど、私の陥没痕は、3mmぐらいになったとはいえ、残ってる。
あんまり奇麗だと、そこをこじ開けたくなる。そんな気持ちの痕。