漁民は、強い マグロ漁師の父を視てきたから 伝えられる マグロ一本の凄さ

漁師さんへ

うちのおやじは、「マグロ一本釣り漁師」でした。

もう9年前に亡くなったけど、死ぬまで私に言ってた言葉がある。

「俺の骨は、海に流してくれ」

海の男は、海で生きて、海で死ぬ。「海」が帰る場所なんだな。って、父を介護していたとき、思ったよ。

うんで、男の仕事を、娘に見せてやりたい。って、思いからだったのか?

不器用だったんだなって、今なら、わかる「父親の威厳」を示す「ある出来事」がありました。

父が、タクシーに乗って帰ってきた。

母と私は、玄関前から、その様子を見てて、父から、こっちに来いという手招きをされた。

タクシーの中に、父とその横に「マグロまるまる一本」が並んでる光景が見えた。

「ちょっと、なんなこれ?!」と、激怒する母。

「いいから、手伝え」と、マグロ一本を、母に抱えさせる父。二人で持たないと、運べない。そうとう重かったみたい。

台所に運ばれた「マグロ」は、解体された。

普通の包丁では解体できないので、父と母二人で、のこぎり使って、「ぎこぎこ」切ってた。

たたきのようになったところを、父が、「おまえ、これ食え」って、マグロの塊をもらった。

母は、ずっと怒ってた。「なんで、金じゃないんね?」「なんで金にせんな?」って、殺気立ってて・・・

「うるせぇ 黙って切ろ」と、父。

最後に、「マグロの頭」が、私に渡された。

渡されても、持てない。私の体半分ぐらいの大きさととてつもない重さ。

小さい私には、そう感じた。

何考えんだ?このおやじ。って思った。

父は、渡したあと、笑ってた。

「おまえ、覚えとけよ。おまえは、これで育ったんだ。」

「これが、俺の仕事だ」って言ってたよ。

母は、「このバカ男がああ!」って、その後、父を殴りまくってた。

私にだけくれた「マグロの頭まるまる一個」

あのときは、初めて視る巨大な魚と巨大な頭に圧倒されて忘れてたけど、

「宝物」もらった気分だったよ。

私の他にだれも、こんなすごいもの、もらえないでしょ^^

てね。

おやじは、本当に、女泣かせの男だったよ。

女を連れ込んだり、ろくなやつじゃなかったけどさ、

仕事に対しては、こそこそせず、堂々と「男の仕事」を語る。

そんなところが、

これこそ漁師 なんだな。って思ったよ。

漁師っていうのは、男の中の男の仕事だよ。くさいこと言うけど、これしか思いつかないから。

だからね。

もしも、今、おやじが生きてたら、こう言うと思うの。

男の意地みせたれ!って、応援すると思う。皆さんに。

それを伝えますね。

父の代表 娘より