私を知った出会い

たぶんこれは、「いじめ」なんだと思います。

彼女は、学年で「怖い存在」として知られていました。

私は、彼女の目に留まりました。

私は、変わり者で、通っていたから。

あるとき、彼女の取り巻きから、背中を刺されました。コンパスの針でね。

そのとき、私の中で、初めて「俺」が出てきました。

背中の後ろで、笑っている声が聞こえます。

私は、怒りがこみ上げてきます。

そして、振り返ったとき、やつらをにらんでいる自分を見ている自分がいて、口から発していたのは、

「殺すぞ・・」でした。

やつらは、笑うのをやめていました。硬直していました。

そのあとは、記憶が途切れています。

それからあとのことだとおもう。

やつらが、教室で談話しているところを、私は、近づきました。

手に、鉛筆を持っています。

やつらの一人が、机の上に手を置いて、話していました。

思い切り、その手の甲に向かって、鉛筆の芯先を突き立てました。

やつらの悲鳴が聞こえてきませんでした。

私は、快感が走ってた。心の中で、笑っていました。

そのとき、「俺」がやったのか?私がやったのか?わからないけど、どちらにしろ、私がやったことです。

恐ろしかったのは、快感以外何も起こらなかったこと。私は、罪の意識がありませんでした。

人を傷つけたという痛みを感じなかった。

私は、人の痛みがわからない人間なのだと思いました。

人が苦しむ姿をみているはずなのに、私は、笑っていました。

やつらは、彼女の取り巻きでした。

彼女から仕返しが来ると思いました。恐怖はあった。だけど、笑っている自分が存在します。「気にするな」といいます。

廊下で、彼女とやつらに会いました。

彼女は、私をみていた。視線を感じて、私は、目を合わせたくなかったのに、勝手に彼女をみてしまう。

彼女と目がぶつかりました。

「こいつは、何もしてこない。」なぜだろう。そのとき、彼女と目を合わせた途端、そう感じました。

しばらくして、彼女は、そのまますれ違っていきました。

こんな変な気持ち、理解できるか?わかりませんが、私は、彼女が憎めませんでした。

やつらが勝手にやったことか、彼女の指示か、わかりませんが、彼女じゃないと意味もなく思った。

彼女に対する怖さはあったけど、「通じ合える。」そう感じました。なんの確信もないのにね。

よく上履きが隠されたりしていた。教科書が落書きされたり、自転車の鍵が隠されたり、いろいろ。

示し合わせて、学級で「完全無視」も当たり前のようにあった。

「完全無視」とは、相手の存在をゼロにすること。何も答えず、目も合わせず、ただ、手足を使って妨害する。

まだ、いろいろありましたけど、長くなるのでやめます。

やつらとのことがあってから、なぜか?だれも、私に手を出さなくなりました。

やつらも、手を出して来なくなった。

彼女とは、言葉を交わすことはありませんでした。

ただ、廊下で必ず目が合う。なぜか?見てしまう。しばらく見合って、またすれ違う。この繰り返しでした。

あれから、だいぶ経ちました。彼女は、どうしてるんでしょうね・・・

この経験から、私は、私の中の「残虐さ」を知りました。ときどき、こうして思い返しては、自分が怖くなります。

人間を、「人という種」として見たとき、人という種には、自然界の当たり前に起こっている「淘汰」が、当てはまりません。

自然界で、同胞で憎みあい、同胞で殺しあうという生態があるのは、人という種だけだと思います。

私が、この年になって思うのは、「淘汰」とは、「調和」を保つためのプログラムなのだということ。

生には、「増」という運命と「運ぶ」という使命があります。死には、「減」という運命と「還す」という使命があります。

この星の大きさそのものは、「生」に比例してこれから先大きくなりはしません。この大きさそのものが、「生」の限界です。だけど、「生」は、「増」し続ける運命にある。だから、限界を超える前に「減」する。「食らう」のです。こうして、星の中では、「増幅」と「減少」が、絶えず繰り返され、あらゆる生ある物の血と肉によって、この大地は保たれてきた。

これが、「自然淘汰」です。

人には、「自然淘汰」が当てはまりません。限界寿命がきて、自然に死ぬこと以外では、不自然な「死」が訪れます。

なぜ、病気が発生し、大量に人が死んでいくのか?

なぜ、大地が揺らぎ、大量に人が建物の下敷きになり、津波に飲まれ、大量に人が死んでいくのか?

なぜ、人は、自ら、命を絶つのか?

なぜ、戦争は起こるのか?争うのか?なくならないのか?

なぜ、人は人を憎み殺しあえるのか?

私には、この星が、自然淘汰を拒否した(人の増幅を調整する種がいないということ)「人という種」に、この星の限界を超えて「増幅」したとき、このアポトーシスが発動するように、人という種の全ての体のなかに、遺伝子に、このプログラムを埋め込んだ。としか思えなかった。

アポトーシス・・・死を促す遺伝子(プログラム)

このプログラムの発動条件は、なんだろう?と考えたとき、私の「残虐さ」を知ったときの事を思い出しました。

人には、人にしか起こらない「欲」があります。「嫉妬」や「傲慢」「憎悪」とかです。

この「欲」が、自然淘汰できない人間のために用意された「死を促すプログラムを発動させるプログラム」です。

「増幅」したことが、発動条件だとしても、なぜか納得がいかなかった。

「増幅」した。→「いまから、死にます。」といって、死を選ぶ人間がいるとは思えない。

だから、「増幅」した。アポトーシス発動条件を満たした。→人の「欲」を発動させる。ターゲットを決める。「死」を促す。アポトーシス発動によって、死ぬ。→「増幅」と「減少」のバランスを判定する。満たせば、プログラム終了。

満たされなければ、人の「欲」を発動させる。に、戻る。

つまり、「増幅」と「減少」のバランス(速度)が調和の取れた形にならない限り、永遠に「人の欲」は発動し続ける。

「食らわれる」運命を逃れた代わりに、「死のプログラム群」を埋め込まれた。それが、人の「淘汰」のされ方なのか・・・

「答え」は出ていません。これは、私の中で、現在進行形です。

永遠に「答え」に行き着けないかもしれない。でも、考えずにはいられない。

終わらない旅です。

追記

その後のこと。

私は、彼に出会います。

「俺の作るゲームで、国境を作らない国語の違いに関係なく、みんなこのゲームを通して繋がりあえる。そんなゲームを作りたい。」彼は、将来ゲーム製作者になるのが夢でした。とても、純粋な人です。

私は、彼女(彼)に出会います。

「俺を信じるなよ。俺も、おまえを信じないから。」この言葉から、「俺を使うなら、覚悟しとけよ。その覚悟がないなら、やめとけ。」と聞こえてきたやつ。趣味が、女キャラに化けて、男性キャラから、貢がせるだけ貢がせて、それを平気でギルド資金として使っていた男。「これは、ギルドへの寄付金だ^^」

私は、彼らに出会います。

「かならず、最初の5人に出会ってください。出会えなければ、ギルドを立ち上げることは諦めたほうがいい。」

この言葉をくれたのは、チロというマスターと、銭形というサブマス。そして、シュバさん。私の師匠です。

私を導いてくれた人たちです。